ドームライトを使用したファイナルギャザリングの改善
ドームライトを使用した
ファイナルギャザリングの改善
ドームライトと呼ばれるライトには2種類あります。[環境光源]と[平行光]の[天空光]オプションです。このライトは両方とも、シーンを照らすために多数の光源サンプルを使用します。サンプル数は、通常のレンダリングで使用される場合、強いアーティファクトを回避するために大きい値を設定する必要があります。各光源サンプルが画像中のピクセルをそれぞれすべて照らす必要があるので、サンプル数が多いとレンダリングの処理スピードが大幅に落ちる原因にもなります。図1.6.7は[天空光を適用]オプションを選択し、サンプル数を少なく(100)設定した[平行光]を使用している通常レンダリングです。アーティファクトがかなり目立ちます。図1.6.8は[サンプル数]を2000に設定した同じシーンです。図1.6.8の画像は計算に図1.6.7の20倍の時間がかかっています。ファイナルギャザリングを使用したレンダリングではサンプル数を増やすことなく、図1.6.7に見られるアーティファクトを回避できます。そのため、ファイナルギャザリングのレンダリングで、[平行光]の[天空光を適用]オプションを常に使用することには意味があるのです。このライトを使用する目的は2つあります。1つめは、天空光があるだけで画像の品質が上がります。これで影がやわらかくなり、シーンに投射する光が増えます。2つめは、ファイナルギャザリングの処理量が減ります。
ファイナルギャザリングのサンプル点の計算段階では、サンプル点はその周りのサーフェースからの間接光を受けています。しかし、明るいサーフェースが2、3個しかない場合、ファイナルギャザリングでもシーンの光を十分に改良することはできません。しかし、天空光はさらに光を追加し、続くファイナルギャザリングではこの追加した光をシーンにさらに分布します。これは、比較的小さい開口部から投射している平行光が床や壁の狭い部分だけを照らしている室内空間で特に役立ちます。図1.6.6の最初の例に戻り、1000%の強さに設定した天空光オプションを設定すると、さらに多くの光を追加し、ファイナルギャザリングに十分な間接光源を生成する機会を提供します。天空光を適用した場合のクイックプレビューレンダリングを図1.6.9に示します。この図と天空光を適用していないレンダリングの図1.6.5を比較すると、(あるとしても)ほとんど追加されていない環境光は適切な最終シーンの明るさに到達するまで追加される必要があることがわかります。図1.6.10の画像は、ファイナルギャザリング、アンビエントオクルージョン、および天空光を適用した完全なGIレンダリングです。このGIレンダリングの[品質]には[4]を設定しています。
環境光源は、本質的に天空光と同じように機能します。しかし、環境光源は平行光のオプションではなく、ライトの種類です。HDRI画像を効果的に使用して、環境光を付与できます。この光は画像の明るい部分の周りに集中します。これは、屋外に設置しているオブジェクトをレンダリングで効果的です。2つの屋外のシーンを図1.6.11と図1.6.12に示します。1つめはファイナルギャザリングと環境光を使用していないレンダリング、2つめはファイナルギャザリングと環境光を使用したレンダリングです。





