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Appleシリコンチップに対応した待望のformZ 10がいよいよ発売開始となります。
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V-Ray6 for formZ 発売のご案内


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グローバルイルミネーションのチュートリアル

グローバルイルミネーションのチュートリアル

図1.6.20:レンダリング画像の保存
図1.6.21:[RenderZoneオプション]ダイアログ
図1.6.22:光の分散が改良された生成画像

このチュートリアルでは、さまざまなグローバルイルミネーション技術を使って、簡単なインテリアレンダリングを改良するのに必要な手順を説明します。

デフォルトレンダリング

  • サンプルファイル(GI_tutorial.fmz)をロードします。
  • [表示]メニューにある[RenderZone*]をクリックします。
  • グローバルイルミネーション機能を使わず、[RenderZone]のデフォルトオプションで室内空間をレンダリングします。部屋は太陽を表す1つの平行光源で照らされます。グローバルイルミネーション効果を取り入れた完成レンダリング画像と比較するために、このレンダリング画像(図1.6.20)を保存してもよいでしょう。

    ファイナルギャザリングの追加

  • [RenderZoneオプション]ダイアログを開きます。
  • [グローバルイルミネーション]タブを選択します。
  • このタブ内の[ファイナルギャザリング]チェックボックスを選択します。
  • [シーンサイズ]メニューで[シーン全体]を選択します。その他の設定はすべてデフォルトのままでかまいません(図1.6.21)。
  • [OK]をクリックして、ダイアログを閉じ、レンダリングを開始します。生成される画像は図1.6.22のように、床で反射する光の分散が改良されたものになります。
  • 図1.6.23:[ライトパラメータ]ダイアログの
    [パラメータ]タブにある[天空光を適用]オプション
    図1.6.24:とても明るくなった部屋

    天空光の追加

    図1.6.22のレンダリングでライティングを改良しましたが、リアルな光を実現するために必要な操作がまだあります。この室内空間で使っている平行光源は平行光線を部屋の中へ送ることで、太陽をシミュレーションしています。現実には空、雲および外部環境からも大量の光が部屋に入ってきます。平行光だけでは、このような種類の光を生成できません。

    • [ライト]パレットにある「Sun」というライト名をダブルクリックして[ライトパラメータ]ダイアログを開きます。
    • [パラメータ]タブをクリックし、[天空光を適用]オプション(図1.6.23)を選択します。天空光の強さを600%に増やします。
    • [OK]をクリックして、ダイアログを閉じます。
    • [表示]メニューから[RenderZone]を選択し、レンダリングを新規で開始します。床と壁を中心に、部屋がとても明るくなっていることを確認します(図1.6.24)。

    ラジオシティの適用

    これまで、ファイナルギャザリングが太陽からの直接光と面で一度反射した空からの天空光を室内に分布させていました。レンダリング画像はラジオシティを少し追加することでさらに改善されます。ラジオシティ解析を開始する前に、ラジオシティの実行を確実に効率よくする操作を行ってください。

    ラジオシティバウンディングボックスの使用

    • ワイヤーフレームモードに戻し、新しいモデリングウィンドウを開きます。
    • 視点を[上面]に設定し、建物をズームします。
    • 次に[ラジオシティバウンディングボックス]ツールを選択します。図1.6.25に示したような矢印と一緒にラジオシティバウンディングボックスが表示されます。
    • 上面および側面の視点で操作をする場合、建物の右上部分のみを囲むようにラジオシティバウンディングボックスのサイズを変更してください。元のモデリングウィンドウでは、この建物の右上部分に視点があります。ラジオシティバウンディングボックスの最終的な状態は図1.6.26のレンダリングのようになります。
    • 新しく開いたモデリングウィンドウを閉じて、元のモデリングウィンドウに戻ります。

    この操作により、ラジオシティの適用範囲が減ります。建物全体の一部が表示されるだけなので、他の部分のラジオシティを計算する必要がなくなります。これにより、ラジオシティの処理スピードが上がります。

    図1.6.25:矢印と一緒に表示される
    ラジオシティバウンディングボックス
    図1.6.26:[シェーディング(フルモード)]レンダリング

    オブジェクトラジオシティ属性の設定

    図1.6.27:[ラジオシティ]メニューオプションに
    [影響を受けない/反射しない]を設定

    さらにラジオシティの処理スピードを上げるために、ラジオシティ計算から家具を除外します。家具は室内空間のサイズと比較すると小さいので、その反射光の量も大したことありません。しかし、家具は多面体なので、ラジオシティが家具の表面の解析処理に長い時間をかける可能性があります。

    • [ピック]ツールでソファ、カウチ、椅子をピックします。
    • [ツールオプション]パレットで[属性]タブを選択し、メニューから[RenderZone]を選びます。
    • [ツールオプション]パレットで[ラジオシティ]メニューオプションに[影響を受けない/反射しない]を設定します(図1.6.27)。

    ラジオシティ解析の実行

    図1.6.28:[ラジオシティオプション]ダイアログの
    [オプション]タブにある[品質スライダー]
    図1.6.29:20秒後に表示されたプレビュー
    図1.6.30:照明の計算にラジオシティの解析値を組み込んだ
    ファイナルギャザリング

    室内空間にもっと光を分布させるために、短時間のラジオシティ解析を実行します。

    • レンダリングモードには[シェーディング(フルモード)]を選択します。
    • [表示]メニューから[ラジオシティオプション]を選択します。
    • [ラジオシティオプション]ダイアログ(図1.6.28)で、[オプション]タブにある[品質スライダー]を75%にします。これにより、デフォルトの50%に比べて、ラジオシティ解析の処理が少しだけ改善されます。追加操作を行い、ラジオシティ解析の処理スピードを上げたので、レンダリングの品質を上げることが可能になります。
    • [バウンディングボックスを使用]オプションを選択します。これにより、事前に定義しておいたバウンディングボックスがアクティブになります。

    [終了条件]タブで、ラジオシティ解析の実行時間を2分に設定します。通常、2分という実行時間は長すぎるのですが、変更しなくても問題ありません。

    [プレビュー]タブで、ラジオシティ解析が20秒おきにレンダリングされるように設定します。

    • [OK]をクリックして、[ラジオシティオプション]ダイアログを閉じます。
    • [表示]メニューから[ラジオシティ解析を生成]を選択します。

    20秒後に1回目のプレビューが表示されます(図1.6.29)。室内空間が最初のレンダリングより大幅に明るくなっていることがわかります。ラジオシティはすでに何度も反射している光を室内空間に分布させています。ラジオシティによって生成された影は、あまり正確ではないことにも気づくかもしれません。後で、[ファイナルギャザリング]が正確で明瞭な影を生成するので、ここでは大きくとりあげません。

    ラジオシティ解析の実行時間を長くすることはできますが、プレビュー表示が2、3回目を過ぎると、はっきりとわかるような改善は発生しなくなります。ラジオシティ解析をやめるときはプログレスバーにある[停止]をクリックします。

    • もう一度、RenderZoneレンダリングを実行します。これで、ファイナルギャザリングは照明の計算にラジオシティの解析値を組み込みます。その結果を図1.6.30に示します。

    アンビエントオクルージョンの追加

    最後に、この室内空間にアンビエントオクルージョンを追加します。ファイナルギャザリングやラジオシティとは異なり、シェーディングされているポイントや指定されているポイントにまったく光が届いていない場合、アンビエントオクルージョンはその点より後方に現れ、順方向の反射光を分布します。この場合、そのポイントは少し暗くレンダリングされます。この方法で家具の下や後方にちょっとした影を生成するとうまくいきます。また、部屋のコーナーにコントラストを少し追加することもできます。

    • [RenderZoneオプション]ダイアログを開きます。
    • [グローバルイルミネーション]タブにある[アンビエントオクルージョン]オプションを選択します。
    • [コントラストの追加]スライダーを50%にします。

    通常のコントラストは環境光0%から[アンビエントオクルージョン]タブに表示される環境光の光量の範囲でのシェーディング生成によるアンビエントオクルージョンによって生成されます。環境光の設定は10%までしかないので、ラジオシティやファイナルギャザリングで生成された光を暗くすることで、コントラストを追加する必要があります。

    • [OK]をクリックして、レンダリングを行います(図1.6.31)。
    図1.6.31:アンビエントオクルージョンの追加

    仕上げ:画像の露出

    図1.6.32:[画像の露出オプション]ダイアログに表示されたプレビュー
    図1.6.33:[バイアス]を60%、[明るさ]を15%に設定したときの画像

    ラジオシティやファイナルギャザリングで光を計算すると、室内空間が明るくなりすぎる可能性がかなりあります。1回目のレンダリングの暗さを考えると、光を強くしすぎたり、画像を明るくする光源を追加しすぎたりすることはよく発生すると思われます。平行光や環境光の光の強さの調節後に上記の手順をくりかえすのではなく、RenderZoneポストプロセスコマンドを使うことで画像の露出の修正がもっと簡単になります。この機能については、後で詳しく説明しますが(「ポストプロセスのレンダリング効果」セクションを参照)、このチュートリアルの例を完成させるために、ここでも基本的なことを取り上げます。

    • [表示]メニューから[RenderZoneポストプロセス]を選択します。
    • [RenderZoneポストプロセスオプション]ダイアログで[画像の露出]チェックボックスを選択してから、その横にある[オプション]ボタンをクリックします。これで、[画像の露出オプション]ダイアログ(図1.6.32)が開きます。
    • [種類]メニューから[自動で選択]を選び、プレビュー領域に表示されている画像が満足のいくものになるまで、[バイアス]スライダーと[明るさ]スライダーを調節します。[バイアス]を60%、[明るさ]を15%に設定したときの画像は図1.6.33にあります。