任意のライトの配光設定
任意のライトの配光設定
他のライトとは異なり、任意のライトは光の強さおよび定義可能な強さの配分の両方を設定する必要があります。この設定には2つのダイアログを使用します。[強さ]タブ内にある[精密]な強さオプションは点光源のものとほぼ同じです(図5.3.5)。

[パラメータ]タブにある[配光設定]ボタンをクリックすると[配光設定]ダイアログ(図5.6.5)が表示されます。このダイアログで各方向の光の強さを表す配光曲線を設定します。
[配光設定]ダイアログはプレビューダイアログです。左側には任意のライトのアクティブな配光曲線が表示されます。最初に、複数のデフォルト曲線が自動的に生成されます。これらの曲線は以下で説明する[対称]および[領域]のメニューでの選択により異なります。配光曲線は設定する光の強さに応じて編集および変更することができます。
以下の規則はプレビュー領域に配光曲線を表示するときに使用します。
- 配光曲線の1つがアクティブな曲線となり、大きなプレビューエリアに表示されます。同時に表示可能なアクティブ曲線は1つだけです。[グリッドを表示]オプションが有効の場合は、アクティブな曲線のグリッドも表示されます。
- 配光曲線が複数ある場合は、アクティブでない曲線は小さいプレビューエリアに黒で表示されます。
- アクティブな配光曲線の点の1つがアクティブな点となり、プロジェクトのハイライト表示色(デフォルトは赤)で表示されます。
- 曲線のアクティブでないすべての点は黒で表示されます。
[矢印]ツールで以下のグラフィック操作を行うことができます。
- 小さなプレビューエリアにある配光曲線をクリックすると、その曲線がアクティブになります。
- アクティブな配光曲線の点をクリックすると、その点がアクティブになります。
- 大きなプレビューエリアで曲線をクリックすると、クリックした位置に新しい点が挿入されます。
- 点をクリックしてドラッグすると、配光曲線の平面上でその点を移動することができます。
- プレビューの下にある[削除]アイコンをクリックするとアクティブな点を削除します。ただし、曲線の端点は削除できません。
[光度の角度]:アクティブな点の原点に対する角度です。この値を変更すると、点の位置が変わります。アクティブな点の角度が変更できない場合、このフィールドはグレー表示になります。
[光度値]:アクティブな点の位置の光の強さです。この値はダイアログの上部の[放射特性]または[測光特性]で指定されている全体の光の強さに対する割合を示します。任意のライトのプレビュー図では、光の強さは光源の原点からの相対距離で表されます。
[すべてに適用]:このオプションが無効(デフォルト設定)になっている場合、[光度値]の変更はアクティブな配光曲線だけに適用されます。このオプションが有効になっている場合、変更はすべての配光曲線に適用されます。
ダイアログの[平面]セクションにあるオプションは以下の通りです。
[対称]:このメニューから4つの対称パターンのいずれかを選択します。対称パターンはどのように配光曲線の平面を使用して任意のライトの強さを示すかを指定します。対称パターンにはそれぞれ異なる平面の条件が設定されているため、異なる対称パターンを選択すると警告メッセージが表示されます。その警告メッセージに対して[OK]をクリックすると、以下のように対称のデフォルトの平面が生成されます。
[なし]:この項目を選択した場合、対称は使用されず、分布を示すために少なくとも3つの配光曲線が必要です。最初の配光曲線は0°の平面に設定する必要があります。2番目の配光曲線は任意の角度の平面に設定することができます。3番目の配光曲線は180°以上の角度の平面に設定する必要があります。最初にこの項目を選択したときは、光源の周囲に0度、90°、180°、270°の角度で平面が自動的に作成されます。
[軸]:この項目を選択した場合は、1つだけ配光曲線が必要です。曲線の平面の角度は常に0度で変更することはできません。このオプションは回転対称の光源を生成します。つまり、回転体オブジェクトと同一になります。
[面対称]:この項目を選択した場合、分布は各象限において対称的になり、0°と90°の角度に少なくとも2つの配光曲線が必要です。最初にこの項目を選択したときは、この2つの角度の平面上に曲線が自動的に生成されます。
[平面]:この項目を選択した場合、分布は0°~180°の角度の平面において対称的になり、0°と180°の角度に少なくとも2つの配光曲線が必要です。最初にこの項目を選択したときは、この2つの角度の平面上に曲線が自動的に生成されます。
各対称オプションによる光源の配光曲線を図5.6.6に示します。




[領域]:このメニューから3つのオプションのいずれかを選択します。このオプションは領域平面での光の範囲を決定します。これは原点を通り光の軸に対して垂直な平面です。この平面は光源の球を2つの半球に分割します。
[下端]、[上端]、[上端と下端]:これらの項目のいずれかを選択すると、それぞれ下、上、上下からだけ光が放射されます。図5.6.7はこのバリエーションの例です。通常は光を放射する半球にも、光の強さが0で光を放射しない点が含まれる場合があります。そのような部分は[領域]での選択に従って生成されるデフォルトの配光曲線を編集および操作して設定することができます。



[平面の角度]:アクティブな配光曲線の平面の、0°の平面に対する角度です。この値を変更すると、アクティブな配光曲線の平面の位置が変更されます。この平面の角度を変更できない場合([軸]対称で使用する配光曲線などの場合)、このフィールドはグレー表示になり使用できません。

対称 | 新しい平面に指定可能な角度の範囲 |
---|---|
[なし] | 0° - 360° |
[軸対称] | 新しい平面は作成できません |
[四方対称] | 0° - 90° |
[面対称] | 0° - 180° |
[新規の平面...]:このボタンをクリックすると、[新規の平面角度]ダイアログ(図5.6.8)が表示されます。このダイアログでは新しい配光曲線の平面の角度を指定することができます。ダイアログには指定可能な角度の範囲も表示されます。この範囲は使用される対称の種類により異なります。各対称に関して表示される範囲を図5.6.9 に示します。[OK]をクリックすると、平面が生成され、アクティブな配光曲線がその上に生成されます。作成された曲線はアクティブな配光曲線になります。
[平面を削除]:このボタンをクリックすると、アクティブな配光曲線およびその平面が削除されます。アクティブな曲線が削除できない曲線である場合、このボタンはグレー表示になり使用できません。
[ロード...]:このオプションを選択すると、任意のライトのパラメータを含むデータファイルが読み込まれます。読み込むことができるファイルは以下の業界標準のフォーマットのいずれかです。

.png)

これらのデータファイルには、配光曲線の角度および値と光の出力エネルギーの追加パラメータが含まれています。出力エネルギーのパラメータが含まれている場合はそれらの値が対応するフィールドに入力されます。含まれていない場合はそのときに入力済みのパラメータが使用されます。照明器具の製造業者のほとんどは製品とともにこれらのフォーマットのいずれかでファイルを提供しています。
[保存...]:このオプションを選択すると、光源の分布設定を上記の標準フォーマットのいずれかでファイルに保存することができます。
任意のライトのあるシーンを図5.6.10に示します。この例では、任意のライトで点光源のように吊り下げ式の照明器具をシミュレーションしています。図5.6.11はこの任意のライトの[ライトパラメータ]ダイアログ、図5.6.12は[配光設定]ダイアログです。すべての方向へ同じ強さで光を放射する点光源とは違い、この任意のライトでは上方向へ放射する光が弱くなるように設定します。これは実際の吊り下げ式照明がソケットや吊り下げ器具で上方向を遮へいしているためです。減衰に[2乗]を設定します。この設定は現実の光の性質に合致しています。半径パラメータに6’-0”を設定すると、その設定値が床から照明器具までのおおよその距離になります。この半径を設定すると、床は100%の強さの光を受けることになります。テーブルの上面など、6’より近くにあるサーフェースではもっと多くの光が当たります。6’より遠いサーフェースは当たる光が少なくなります。サンプルファイル(Custom.fmz)をロードすると、このレンダリングを再作成したり、詳細なライトパラメータを見たりすることができます。