天空光のシミュレーション
天空光のシミュレーション
このチュートリアルは「太陽光を使用したラジオシティ解析」の例に基づいて進めています。ここでは例と同じ、平行光が1つのシーンを使用します。例ではサーフェースに当たる太陽光とサーフェースで反射した光のみで空間の光を生成していました。実際の環境の直射日光は窓から差し込む光だけではありません。たとえば、北向きの窓について考えてみましょう。直射日光は入ってきませんが、考慮に値する量の散乱光が空間に入ってきます。雲、ビル、地面の反射光や、光が当たっている半球体で、この散乱光が発生しています。散乱光は方向性もありません。つまり、全方向へおおよそ等しい強さを持っています。RenderZoneでは[ライト]の種類が[平行光]の場合、[ライトパラメータ]ダイアログの[パラメータ]タブにある[天空光]オプションを使用して、この散乱光をシミュレーションできます。このシミュレーションが非常に正確であると、[天空光]オプションではラジオシティの解析時間をかなり増やすことになります。次の例では天空光を生成するのにもっと効果的な別の方法を使用します。窓の開口部に設置する追加光源として、エリアライトを使用します。
晴れた日に対応したエリアライトの生成

「distant_atmospheric.fmz」ファイルをロードします。ファイルは「太陽光を使用したラジオシティ解析」と同じシーンに追加光源を加えています。
- [ライト]パレットの[Window Panels]ライトグループには8組のエリアライトの光源があります。このライトグループの表示状態と有効の状態をオンにします。図8.2.1のように、エリアライトは窓の開口部を覆い、部屋へ光を投射します。また、エリアライトを一から生成できます。これを実行する1番簡単な方法は窓ガラスの8個の面を選択し、[2D図形]ツールを使用して、8個の面をサーフェースに変更します。「エリアライトと線光源」セクションで述べているように、サーフェースを1つずつエリアライトに変換します。
- 太陽光をダブルクリックして、[ライトパラメータ]ダイアログを開きます。ライトの強さを200%に減らします。追加したエリアライトが光を追加するので、この作業が必要になります。[影]タブにある影の種類を[ソフト(マッピング)]に変更し、影のやわらかさを20%に変更します。
- [Window Panels]ライトグループをダブルクリックして、[ライトグループ属性]ダイアログを開きます。[強さ]オプションをオンにして、[スケール係数]を選択し、係数に2を設定します。
- [シェーディングレンダリング*]表示モードを選択してから[ラジオシティ解析を生成]を選択します。短時間のラジオシティ解析のレンダリング画像を図8.2.2に示します。ご覧のとおり、エリアライトの拡散した光が室内のサーフェースにソフトなシェーディングを追加しています。いろいろなライティング効果を作成するために、光の強さを少しずつ変えて実行してもよいでしょう。
「太陽光を使用したラジオシティ解析」と同様のメッシュの微調整を適用すると、最終ラジオシティ解析が生成できます。「太陽光を使用したラジオシティ解析」と同じ設定で高品質のラジオシティ解析を適用したレンダリングを図8.2.3に示します。

レンダリング画像

曇りの日に対応したライトの強さへの変更

これまで設定していた天空光の状態は晴れた日をシミュレーションしていました。曇りの日の太陽光の強さはかなり弱くなり、周囲からの散乱光はかなり強くなります。例では、太陽光の強さを100%に変更することで、このような状態を作成できます。そして、強さはエリアライトのスケール係数を4に変更しています。太陽光の影のやわらかさも50%に変更し、影の境界をさらにやわらかくします。これらの設定を適用した画像を図8.2.4に示します。